侮るな!インシュリン注射~3回以上の注射が入居を難しくする現実~

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はじめに

「インシュリン注射くらいなら、介護付き有料老人ホームに入居すれば問題ないはず」
「毎日3回でも4回でも、介護スタッフや看護師さんが対応してくれるでしょう」

こうした声を面談時によく耳にします。注射=簡単な処置 と考えてしまっているからです。しかし現実には、インシュリン注射の回数が多いと施設から受け入れを断られるケースは決して珍しくありません。

本記事では、インシュリン注射の実際の対応状況や、なぜ「回数が多いと入居拒否につながるのか」を詳しく解説していきます。


インシュリン注射は「簡単な処置」ではない

インシュリン注射は、糖尿病患者さんにとって欠かせない日常の医療行為です。確かに自己注射できる方もいますが、高齢になり手先が不自由になったり認知症が進んだりすると、介助や看護師のサポートが必須となります。

ここで重要なのは、注射の回数です。

  • 1日2回程度(朝・夕)
     → 多くの介護付き有料老人ホームで対応可能。日中の看護師勤務時間内に収まるため。

  • 1日3~4回(朝・昼・夕・就寝前など)
     → 看護師が不在の時間帯(昼食後・夜間・早朝)に必要になることが多く、対応できる施設は限られる

つまり、「回数の多さ」が大きな壁になるのです。

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なぜ断られるのか?施設側の事情

「たかが注射」と思われるかもしれません。しかし施設側には次のような事情があります。

1. 看護師の勤務時間の制約

介護付き有料老人ホームは「看護師常駐」と言っても、日中のみ(9時~18時など) の勤務が一般的です。夜勤に看護師がいる施設はごく一部であり、その場合は費用も高額になりがちです。

夜間や就寝前に注射が必要な場合、介護スタッフだけでは対応できません。これは法律上の制限であり、医療行為を介護士が行うことはできないからです。

2. 人員体制・費用面の問題

  • 看護師を増員しないと回数の多いインシュリン注射に対応できない

  • そのためには人件費がかさむ

  • 結果的に「追加費用が発生」または「受け入れ拒否」となる

3. 医療リスクの高さ

インシュリン注射は単純に針を刺すだけでなく、

  • 血糖値のチェック

  • 投与量の調整

  • 低血糖リスクへの対応

など、専門的な判断を伴います。これを毎日複数回行うのは、施設にとって負担が大きいのです。


よくある誤解とその危険性

現場でよく耳にするのが、次のような誤解です。

  • 「介護付きだから、看護師が24時間いて当然」

  • 「インシュリン注射くらい簡単だから問題ない」

  • 「追加費用を払えば必ず対応してくれる」

しかし実際には、

  • 看護師が24時間常駐している施設はごくわずか

  • 注射の回数が多いと断られるケースがある

  • 追加費用があっても「対応できません」と言われることもある

こうした誤解のまま施設探しを始めてしまうと、入居直前になって受け入れ拒否という事態にもつながりかねません。


実際の受け入れ状況

私たちがサポートしてきたケースを例に挙げると、

  • 70代男性・糖尿病歴20年
     1日4回のインシュリン注射が必要 → 看護師不在の時間帯が多く、複数施設から受け入れ拒否 → 最終的に24h看護体制のある有料老人ホームを選択(一般的な施設相場よりも高額になった)

  • 80代女性・軽度認知症
     1日2回の注射(朝・夕) → 看護師日中常勤の施設で問題なく受け入れ → 費用負担も一般的な範囲に収まった

このように、回数の違いが入居の可否を分ける大きなポイントになります。


入居を検討する際のチェックポイント

もしご家族やケアマネジャーが入居を検討する際は、以下を必ず確認してください。

  1. 看護師の勤務体制
     日中のみか、夜間も対応可能か。(お食事の時間帯に看護師が出勤しているかがポイント!)

  2. 医療連携体制
     往診医や提携病院とどのような連携をしているか。

  3. 追加費用の有無
     インシュリン注射の回数に応じて医療管理費が上がるか。

  4. 受け入れ実績
     「過去に1日3回以上の注射をしている方を受け入れた実績があるか」確認するのも有効です。インシュリン注射


まとめ

インシュリン注射は「簡単な処置」ではなく、回数が多いと施設入居の大きな壁になります。

  • 1日2回なら比較的受け入れやすい

  • 3~4回になると看護師不在の時間帯がネックとなり、拒否されることも多い

「介護付き有料老人ホームだから大丈夫」という思い込みは危険です。施設探しの際は、注射回数と看護師体制を必ず確認することが大切です。

インシュリン注射を必要とする方の施設探しは、一般のケースよりも難易度が高いですが、事前に正しい知識を持っていれば、安心できる選択肢を見つけることができます。

この記事を書いたスタッフの紹介

名前:明石 光司(あかし こうじ)
範囲:岡山市より東エリア(岡山市全域、備前市、瀬戸内市、和気、玉野市)
連絡:080-2933-2750
備考:皆様のお力になれるように全力で対応致します。

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  • 投稿者
  • ハピネスプラス
  • 相談員


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