
【序章】施設入居=安心だけでは終わらない誤解
高齢者の介護が難しくなり、施設への入居を選択されるご家族は多くいます。
「もう大丈夫。施設に入れたからあとは任せよう」── このように感じる方もいるでしょう。
しかし実際には、施設入居後も“ご家族に残る役割”がたくさんあります。
施設は日常生活を支える場所。その範囲を超えることはできません。
入居後に期待できるメリットは大きいですが、認識ギャップがあると“こんなはずじゃなかった”という後悔にもつながります。
2. 入居後に家族が担う“残る役割”とは
2-1 面会・精神的ケア
入居者は環境変化に戸惑うことがあります。
家族と会うことで安心感を得たり、気持ちの拠りどころを保てたりします。
介護現場でも「面会を心待ちにしている入居者」は珍しくありません。
2-2 差し入れ・消耗品補充・金銭管理
衣類、季節品、嗜好品、日用品などは個人の好みが反映されます。
施設が全て用意するとは限らないため、家族が補填するケースは多いです。
2-3 入居者 ↔ 施設の橋渡し役
入居者自身が要望や不満を言いにくいこともあります。
家族が「こうしてほしい」や「最近気になること」を適切なスタッフに伝えることで、生活の質を向上できます。
2-4 サービス担当者会議・懇談会への関与
施設では定期的にスタッフとケアプランを見直す会議があります。
家族が参加することで、ケア内容や方針に影響を与えられ、安心感にもつながります。
2-5 緊急時対応・医療判断
病状の急変、入院、手術などが起こる可能性は常にあります。
こうした場面では家族が判断を求められたり、付き添い・連絡対応を求められたりします。契約時に「緊急時対応」を確認しておきましょう。
🔍 “施設に任せきり”が危ない理由
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契約外の項目は対応してもらえない可能性がある
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家族不在時にトラブルになりやすい
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入居者の声が届きにくくなる
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施設と家族の信頼関係がゆるくなる
✅ 契約時に必ず確認すべきチェック項目
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通院・付き添い・送迎は含まれているか?
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往診対応の範囲(内科だけか、他科も可か)
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緊急時の呼び出し条件・手順
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契約サービス範囲(何が含まれる・何が別料金か)
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退去要件や条件
✨ 家族としての立ち位置で意識したいこと
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主張より“相談口”になる
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小さな変化・不満を見逃さない
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関係性を築く姿勢(感謝・礼節・対話)
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無理なく関わる頻度を自分で決める
🔚 まとめと読者へのメッセージ
施設入居は、家族の「手放し」ではなく、
“関わり方を変えるステップ”です。
入居後も、ご家族だからこそできることがあります。
その関わりこそが、入居者の暮らしを豊かにし、
施設との信頼を育む基盤となるのです。
将来に備えて、この認識を持っておくことが、
あなたとあなたの大切な人の安心につながります。