高齢になってくると、どうしても音や声を聞き取りにくくなってしまう人が多いです。
しかしそれとは別に、元々音を聞くことができない人や、後天的に難聴となった人、高齢になるにつれ音が聞こえなくなってしまった人などもいます。
そういった方が入れる老人ホームとして、手話対応のできる老人ホームが望まれているのです。
■現状手話対応ができる老人ホームは少ない
全国各地に非常に多くの老人ホーム施設があるものの、手話対応ができる老人ホームは少ないのが現状です。
2018年2月でのデータでは、聴覚への障害に対応した老人ホームは全国で9か所しかないとされています。
手話を使ったコミュニケーションは専門性が高く、聴覚への障害の度合いによっては日本手話と日本語対応手話が使い分けをされているケースもあり、手話を学んでいない人にとってはハードルが高く感じられるのかもしれません。
■聴覚への障害があると普通の老人ホームでは孤立しがち
人はコミュニケーションすることを通じて自分を表現し、また他人を理解しようとします。
聴覚への障害があると他人の会話を聞き取れず、コミュニケーションが難しくなるでしょう。
聴覚の障害があると、自分が発する声がどのようになっているのか分からず、自分からの会話も困難になります。
そういったことから、他の入居者とトラブルになることも少なくありません。
老人ホーム内で手話などによるコミュニケーションが取れればいいのですが、周りにそういった理解がない場合は孤立してしまうことが多いのです。
老人ホーム内で孤立してしまうと、認知症などの発症リスクも高まります。
■手話が話せるスキルを持った職員を育成する
手話が話せるというのは別の言語による会話ができるスキルと同等の価値があります。
老人ホームでもそのスキルを活かすことができるのですが、まだ手話対応ができる老人ホームは少ないのです。
手話対応を身につけるには、勉強することが一番の近道ですが、介護職員自体が不足している現状では難しい可能性が高いでしょう。
老人ホーム職員の育成にはコストがかかるので、いかに職場の労働環境を改善し、勉強する余裕を持たせるかが重要です。
年齢が高くなるにつれて耳が聞こえなくなっていく高齢者は多いでしょう。
そういった方々を支援するためにも、手話などによるコミュニケーションの取り方は非常に重要になってくるのです。
今後ますます需要が増えるであろう手話対応の老人ホームが増えることが待たれます。