老人ホームでは毎回様々なレクリエーションが実施されていますが、その中でも人気の高いものとして注目されているのが音にまつわるものです。
昔の歌謡曲や童謡などを歌ったり、簡単な楽器を演奏したりするレクリエーションは、実は楽しいというだけではなく、心のリラクゼーションに役立ったり健康増進につながったりするケースもあります。
今回はそんな歌や演奏を取り入れた音楽療法についてご紹介していきましょう。
■老人ホームでの音楽療法とは?
音楽療法は、歌や演奏など音楽の力によって気分を高めたりリラックスすることで様々な症状の改善を目指すリハビリの一つを指します。
元々老人ホームでもレクリエーションとして歌や演奏が取り入れられてきましたが、音楽による効果が徐々に判明してきたことで、レクリエーションとリハビリの両方を兼ねて用いられることが増えてきました。
音楽療法には受動的なものと能動的なものに分けることができます。
レクリエーションなどで用いられる歌や演奏は、能動的なものに分類され、老人ホームにプロの演奏者を呼んで演奏会を開催したり、介護や食事の最中に好きな音楽をかけて聞いたりすることは受動的なものに分類されます。
音楽療法では受動的・能動的どちらを取っても、クラシックや歌謡曲、童謡、唱歌、演歌などを中心に取り入れることが多いです。
■音楽療法による効果
音を聴いたり実際に歌・演奏をしたりすることは、脳の血流を促して脳が活発に動くためのエネルギー源を多く運ばせる効果もあります。
これにより脳が活性化して認知症に関する症状が軽減すると見込まれています。
また、軽度認知障害の方に毎週1回1時間程度の音楽療法を10回程度行なった際に、記憶力・注意力などが改善されたという研究結果も明らかとなっています。
■老人ホームで音楽療法を取り入れた際の効果
認知症症状の軽減以外にも、老人ホームで音楽療法を実践したことで様々な症状の改善につながったという事例もあります。
普段は表情を変えることもなく会話も少なかった入居者の方が、老人ホームで音楽療法を実践したところ、生き生きとした表情になっていき、明るさを取り戻されたという事例や、発語障害を患っていた方が音楽療法によって簡単にですが歌を歌うようになり、そこから少しずつ受け答えなどもできるようになっていったという事例もみられます。
音楽で脳の活性化を図ることで、脳だけではなく体全体への活性化につながるだけでなく、心肺機能のトレーニングや精神の安定化につながることで様々な症状の改善につながるのではないでしょうか。老人ホームでの音楽療法は、肉体的にも精神的にも入居者を元気にさせてくれるリハビリの一つであると言えます。
今後老人ホームへの入居を考えている方やそのご家族の方は、音楽療法に積極的な老人ホームを探してみるのも良いでしょう。