老人ホームは入居の困難さがニュースになることが多く、老人ホーム=空きがないと思っている方も多いと思いますが、実は施設に空きがあるという地域も増えてきています。
高齢化社会になっている現状は変わらないのに、なぜ老人ホームに空きがあるのでしょうか?
■各地域によって空きが続出?
全国的にこのような施設に入居できず、地域によっては数百人待ちなども当たり前の状態になっているにも関わらず、地域によっては人気の老人ホームが空きの状態のままという所もあります。
なぜ、このような状態になったのでしょうか?
その理由に大きく関係しているのは、「法改正」が挙げられます。
特別養護老人ホームでは、比較的少ない費用で長期的な入居が可能な施設であり、そのために入居者数も増加傾向にありました。
2014年に厚生労働省からの発表で、特別養護老人ホームの待機者数は全国で約52万人程度いるという結果がありましたが、高齢者がどんどん増え続けているにも関わらず、この待機者数は減少傾向に傾きかけていき、一部の施設においては2年間の間に約17%待機者数が減少したと報告されています。
これは、翌年の2015年に特別養護老人ホームの入居基準が変更になり、今まで入居者の介護度は要介護1~5の認定で入居ができたのですが、現在は原則的に要介護3以上となってしまったため、待機者数の減少に繋がったとされています。
その結果、地域によっては空きの状態が多く出ているようです。
■要介護1~2だと入居したくてもできない?
このような法改正によって、要介護1~2の場合は入居することができず、その中には体は元気でも認知症の方もいます。
このような認知症の方の場合、1人暮らしでは薬を飲み忘れてしまったり、火の始末を十分にできないなど、生活において不安な要素が多くあります。
十分な身の回りの世話ができない高齢者によって、要介護度だけで入居したくてもできない状態であることに変わりはなく、それでも老人ホームに入居できない現状があり、そのため地域によって老人ホームの空室につながっていることになっています。
でも、要介護度が少なくても常時見守りや介護が必要な認知症高齢者や、支援なしでは生活できない高齢者など、どうしてもこれらの介助が必要な場合は、特別養護老人ホームにこれらの理由を書類で提出することで、入居を認められることもあります。
これらの原則外に該当する場合は、直接特別養護老人ホームの空き次第で入居許可とみなされるケースが多いため、生活の困難や認知症がある場合は、早めに聞いてみましょう。