高齢化社会である現在、特別養護老人ホームという施設形態は多くの人が知っているはずです。
自宅での介護が難しくなってしまった時に、長期入居可能な特別養護老人ホームへの入居を希望する方が多くなっています。
そんな老人ホームはいくつかの課題を抱えていることが多いので、今回は老人ホームが抱えている課題をピックアップしてみていきます。
■スタッフの賃金が安い
老人ホームなどで働く介護スタッフは、利用者の命を預かっている仕事であるにも関わらず、医療現場の賃金と大きな差があります。
老人ホームに入居している利用者の介護は、医療現場と同じように小さなミスが死につながってしまうなどのリスクがあるのに、介護スタッフはそのリスクに見合った賃金をもらうことができていません。
そのため、賃金の安さから離職率も高く、慢性的な人手不足につながっています。
■老人ホームに入居するハードルが高い
老人ホームは、申し込めばすぐに入居できるというわけではありません。
なぜ入居するハードルが高いのかと言うと、有料老人ホームは毎月20万円以上かかる施設があったり、老人ホームに対して昔のマイナスなイメージを持ち続けている高齢者の方は入居を拒むこともあります。
最近では、元気なうちから老人ホームに入居しようとする方も増えていますが、金銭的な問題や老人ホームに対するマイナスなイメージを持っていることで、老老介護(高齢者同士の介護)や認認介護(認知症同士の介護)につながってしまうケースも実際にあります。
■特別養護老人ホームの待機者が多い
特別養護老人ホームに入居を希望している人が多く、待機している人が非常に多くなっています。
どうして入居希望者が多いのかというと、特別養護老人ホームは社会福祉法人や自治体が運営している施設であるため、費用が他と比べても安いことが理由の一つに挙げられるでしょう。
また、特別養護老人ホームに入居できる条件に要介護度3以上というものも加わったため、さらに入居が難しくなっています。
しかし、介護スタッフの人手不足から、空室がある特別養護老人ホームもあります。
そのような施設の場合は、いくら空室があっても人手が足りていないため入居の受け入れができないという現実もあり、待機者をすぐに解消することはできません。
高齢社会の現在、老人ホームの数はどんどん増えていますが、施設の数だけ増えても介護スタッフが足りないため、入居人数を増やせない施設も多くあります。
今後は、介護スタッフへの待遇などを変えるなどの対策をしていかなければ、老人ホームが抱えている課題を改善することは難しいのかもしれません。